search-icon
academy-icon

Web3.0における最新資金調達トレンド分析 #50|「BRRR」とBrighty:暗号資産決済を変革する2プロジェクトの資金調達…etc

2024年12月07日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)

目次

  • 前提
  • #50_資金調達の潮流
  • 1.「直近1週間」の資金調達トレンド
    • 1.1.直近一週間の出資フロー
  • 2.セクター別資金調達トレンド
    • 2.1.CeFi|「BRRR」とBrighty:暗号資産決済を変革する2プロジェクトの資金調達
    • 2.2.Infra|「Firestarter」とGPUトークン化:注目のZK技術と資金調達動向
    • 2.3.DeFi|ビットコイン文化からRWAまで:DeFi資金調達で注目の3プロジェクト
    • 2.4.Social|ブロックチェーンで知的財産を再定義:Sekaiが310万ドルを調達し創作体験を革新
    • 2.5.Games|オンチェーンエコノミー×アクションRPG:「Runesoul」が100万ドルを調達
    • 2.6.NFT|Yuga LabsがTokenproofを買収:NFTの実用性拡大への新たな一歩
  • 3.「2024年度Q4」
    • 3.1.資金調達を実施したプロジェクト概観
    • 3.2.資金調達が活発なカテゴリー
    • 3.3.活発な投資会社の特定(四半期別)

前提

本シリーズでは、どのようなWeb3.0関連のスタートアップやプロジェクトに資金が集まっているのか、資金調達の最新の傾向とパターンを解説します。
今回の#50では、2024年11月30日〜2024年12月6日にかけて確認された計29件を対象とした調査分析結果を共有します。

#50_資金調達の潮流

※グラフ記載の$_Mは当該期間中の調達合計、(_cases)は調達したプロジェクト件数を表しています。なお、資金調達報告は確認されているものの調達額が公開されていない場合は、ケースとしてカウントしてはいますが、調達額の計算には含んではいません。
以下、「直近1週間」「2024年度Q4」の資金調達の調査結果を共有します。

1.「直近1週間」の資金調達トレンド

直近一週間の投資ラウンド件数/週は29件、公開情報に基づく調達額/週は約$236M(※非公開情報は含まれません)です。
この期間中、公開された資金調達額ではCeFiセクター($155M/4件)、Infraセクター($49.6M/11件)、DeFi($26.5M/9件)の順に多くの資金調達報告を確認しています。
より細かな分類(上図)では、CEX($135M/1件)、AI関連($16.5M/3件)、ゼロ知識証明技術関連($16M/2件)、DePIN関連($11.5M/1件)、フィンテックアプリ($10M/1件)に比較的多くの資金が流れていることを確認できます。

1.1.直近一週間の出資フロー



各セクターでの資金調達の内訳は、上記の出資フローを示すグラフでご確認いただけます。
この期間中に出資額、出資数で目立つ投資会社(投資家)はHashed、Accel、BitRock Capital、Animoca Brandsです。
  • Hashedの出資先内訳 
    • Sekai:生成AIを活用したストーリーテリング・プラットフォーム
    • STAT PROJECT:韓国の暗号資産メディアBloomingBit社と提携するソーシャルトレーディングプラットフォーム
    • GAIB:GPUをトークン化することでAI計算資源へのアクセスを容易にすることを目指す暗号資産・AIスタートアップ
  • Accelの出資先内訳 
    • Public com:株式、ETF、オプション、暗号資産、美術品や収集品のような代替資産など、さまざまな資産クラスにわたって手数料無料の取引を提供する投資プラットフォーム
  • BitRock Capitalの出資先内訳 
    • interlace.money:シンガポール拠点のグローバルカード発行およびデジタル資産管理プラットフォーム
  • Animoca Brandsの出資先内訳 
    • GAIB:GPUをトークン化することでAI計算資源へのアクセスを容易にすることを目指す暗号資産・AIスタートアップ
    • BLIFE Protocol:Bitcoin DeFi

2.セクター別資金調達トレンド

以下、各セクターごとの当該期間中の資金調達トレンドをまとめます。

2.1.CeFi|「BRRR」とBrighty:暗号資産決済を変革する2プロジェクトの資金調達

出典:https://holyheld.com/
Holyheldがトヨタベンチャーズ等からの出資を受け、リアルタイムでの送金・決済を可能とする「BRRR」プロトコルの開発を加速します。
Holyheldは、暗号資産と既存金融をシームレスにつなぐための仕組みを提供するプロジェクトです。大きな特徴は、「自分で管理するウォレット(セルフカストディ・ウォレット)」を、まるで銀行口座のように使えるようにする点にあります。
具体的には、Holyheldは、ブロックチェーン上の暗号資産を「そのまま」日常的な支払いに使えるようにするインフラを構築しています。従来、クリプト資産で支払うには、事前に法定通貨(例:ドルやユーロ)に換金したり、あらかじめ資金を用意したりする必要がありました。しかし、Holyheldの技術(BRRRと呼ばれるシステム)を使えば、ウォレットにある暗号資産を直接使ってリアル店舗やオンライン決済に対応でき、必要なときに自動で交換・清算することが可能になります。
また、Holyheldは、既存の金融サービス提供者(例えばカード発行会社やフィンテック企業)が、複雑な暗号資産の技術や規制対応を自前で行う必要をなくし、シンプルなAPIで統合できるようにします。これにより、ユーザーは「ウォレットに入っているトークンを使って支払いをする」という、これまで難しかった体験をスムーズに実現できるようになるのです。
要するに、Holyheldは暗号資産と既存金融インフラを裏側でつなぎ込み、「暗号資産で直接払う」「ウォレットがそのまま銀行のように使える」未来を可能にするための新しい基盤を提供しているプロジェクトだということです。
今回の資金調達により、BRRRプロトコルは決済ネットワークの拡大や顧客基盤の強化が期待され、暗号資産を利用したグローバルな決済インフラの構築が進むことでしょう。
出典:https://brighty.app/en
さらに、スイスに拠点を置くデジタル金融プラットフォーム「Brighty」は、Futurecraft Venturesから1,000万ドルの資金調達を実施しました。この資金を使用して、ヨーロッパとイギリスにおける事業拡大を目指し、実世界での暗号通貨決済をより一層推進する計画です。Brightyは、デジタルバンキング、ステーブルコイン、分散型金融を組み合わせたアプリを展開しており、暗号資産に基づくVisaカードを提供しています。これにより、ユーザーはユーロやドルへの換金や友人への送金が容易になり、オンライン・オフラインでの支払いが簡素化されることで、暗号通貨の利用が一層拡大することが期待されています。
またここ最近の暗号資産市場が盛り上がる中で、シリーズB1、シリーズD-2ラウンドの大型資金調達も確認されています。
一つはBitRock Capital主導のシリーズB1ラウンドで1,000万ドルを調達したシンガポール拠点のデジタル資産管理プラットフォーム「Interlace」。今回の資金は、アジア太平洋地域や米国、英国といった市場でのグローバルな拡大と国際チームの強化に役立てられる予定です。なお、Interlaceはすでに450万枚以上のカードを発行し、年間6,000万件以上の取引を処理するという実績があります。
もう一つはシリーズD-2ラウンドで総額1億3500万ドルを調達したPublic。Accelがリードインベスターを務め、これまでの全ての資金調達ラウンドにおいて重要な役割を果たしています。Publicは「ソーシャル株式取引アプリ」として2019年にスタートし、現在は暗号資産を含む様々な資産クラスへの対応や、高度なポートフォリオ管理機能を備えた強力なプラットフォームに成長しています。AIリサーチエージェント「Alpha」を用いた迅速な情報提供により、ユーザーの取引の効率性も向上している点が特徴です。
これらの事例は、ブロックチェーンや暗号資産が複数の業界でのりいくつかの重要な役割を果たしつつあることを示しています。それぞれの企業が独自のポジショニングと戦略を持っており、資金調達を通じて市場での競争力を高める姿勢が見受けられます。今後の展開が非常に楽しみです。
[CeFi領域における資金調達事例一覧]
このレポートはPro会員限定です。
HushHubリサーチの紹介 >
法人向けプラン >

※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。