Jupiter/JLPの概要 JLPの仕組みとリスクヘッジした運用アイデア
2024年08月10日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 前提
- Jupiter/JLPの概要
- JLPの概要
- JLPを利用した運用方法
- Kaminoでのレバレッジレンディング
- JLPをデルタヘッジした運用
- リスクについて
- 総括
前提
本レポートでは、Solanaにおける現物、無期限先物取引を展開している分散型取引所のJupiter、およびJupiterの無期限先物市場に対する流動性提供(LP)トークンJLPの運用方法について説明します。
執筆現在のDeFiLamaによれば、JupiterはSolanaの中で6番目のTVLであり、無期限先物取引市場の取引量は、dYdXとHyperliquidに次いで3番目です。
Jupiterの無期限先物市場の取引量は、SOL価格、Solana DeFiへの注目が集まるとともに上昇しています。この環境は、JLPを利用する上で利回りを生みやすい機会にあるといえます。
一時的に過ぎませんが執筆現在のJLPはAPY100%を超えています(平均的にはAPY20〜30%程度と思われる)。
これはガバナンストークンによる見せかけの底上げではなく、実際にJupiterでの無期限先物取引量、構成されるトークンの恩恵などのカラクリが存在します。
今回のレポートは、なぜこのような利回りが出るのかという仕組みを紐解くとともに、JLPによって利回りを得る基本的なストラテジアイデアを紹介します。
Jupiter関連リンク
- 公式サイト:https://jup.ag/
- 公式ドキュメント:https://station.jup.ag/
免責事項
- 今回のレポートは情報提供を主目的としており、金融商品・暗号資産・トークン等の勧誘を目的としておりません。 最終的な投資意思決定は、ご自身の判断で行うようご理解ください。
- 当該情報の正確性および完全性を保証または約束したものではありません。また、本情報に基づいて被ったいかなる損失についても一切責任を負いません。
- 本レポートに記載されている情報は、執筆時点のものであり、最新の情報が反映されていない可能性があります。
Jupiter/JLPの概要
Jupiterは、Solanaに展開している分散型取引所です。そのカバー範囲は広く、現物取引のアグリゲーター、無期限先物取引、ローンチパッド(新規トークンの上場機能)を提供しています。
現物取引では、指値取引、ドルコスト平均でのスワップなどの多様な機能を提供しており、ルーティングされたプールをから最適価格が算出されるため、ユーザーは複数の分散型取引所から最良の価格を探す手間が省けます。
JLPの概要
JLPは、Jupiterの無期限先物取引所への流動性提供トークンです。JLPは、インデックスされた複数のトークンで構成されます。内容は以下の5種類でステーブルコインが35%、残り65%のうち4割がSOL、BTC・ETHがおよそ1割ずつという内訳です。
Arbitrum、Avalancheに展開しているGMXのGLPとほぼ同様の仕組みです。
Arbitrum、Avalancheに展開しているGMXのGLPとほぼ同様の仕組みです。
JLPの仕組み、特徴
- JLPは、無期限先物取引に必要な流動性を提供し、トレーダーのカウンターパーティ(トレーダーの利益はJLPの損失になる、その逆にトレーダーの損失はJLPの利益になる)として機能する
- JLP保有者は、無期限先物取引によって生成された手数料の75%を受け取る
- JLP保有者は、収益が自動的にJLPトークンに蓄積されるため、積極的にステーキングや収益の収穫を行う必要がない
- JLPはSPLトークン規格であり、Solanaエコシステム内で取引が可能
JLPは任意のトークンで購入するだけです。APYはJLPの価格上昇の形で反映されます。
JLP価格の決定方法
LPの基本的な価格は、JLPプール内のすべての資産の合計価値を流通しているJLPの総量で割った値で決定されます。これを仮想価格と呼びます。
JLPの実際の市場価格は、仮想価格に市場プレミアムが加わることで決定されます。JLPプールのAUM(Assets Under Management)が制限に達すると、新しいJLPトークンの発行が制限され、その結果、既存のJLPの市場価格が上昇する可能性があります。
JLPを構成するトークンでJLPを購入する際、プール内の各トークンの目標比率に対して「ポジティブ」(目標値に近づけるような流動性提供)な場合は、手数料がかからない、もしくは非常に低い手数料がかかる設定になっています。
JLPを構成するトークンでJLPを購入する際、プール内の各トークンの目標比率に対して「ポジティブ」(目標値に近づけるような流動性提供)な場合は、手数料がかからない、もしくは非常に低い手数料がかかる設定になっています。
一方、「ネガティブ」(目標比率から遠ざけるような流動性提供)な場合には、追加の手数料が発生します。この手数料は通常、スワップ手数料として計算され、プールの重みに応じて変動します。手数料率と内訳は以下のとおりです。
JLPが得る手数料率の内訳
- ポジションの開設手数料: 0.06%
- ポジションの決済手数料: 0.06%
- スワップ手数料: 0%から1.5% プールの重みに応じて変動
- 借入金利: 0.01%/時間(1bps/時間)× トークン利用率
JLPの中央値価格は、右肩上がりで上昇をしています。
JLPの興味深い点としては、YTDでのパフォーマンスです。以下のグラフは、SOL、BTC、ETH、JLPでYTDでの上昇率を重ねて示しています。JLPはSOLよりもやや劣りますが、BTCやETHよりもパフォーマンスが良いことが分かります。
これは、年初からBTCやETHをホールドしているよりも、リスク要素などを抜きにして純粋なリターンで考えた場合にはJLPをホールドしていた方がパフォーマンスが良かったことを意味しています。
JLPの興味深い点としては、YTDでのパフォーマンスです。以下のグラフは、SOL、BTC、ETH、JLPでYTDでの上昇率を重ねて示しています。JLPはSOLよりもやや劣りますが、BTCやETHよりもパフォーマンスが良いことが分かります。
これは、年初からBTCやETHをホールドしているよりも、リスク要素などを抜きにして純粋なリターンで考えた場合にはJLPをホールドしていた方がパフォーマンスが良かったことを意味しています。
なお、トレーダーの利益がJLPの損失になるという説明をしましたが、2024年からSOLとJupiterの無期限先物取引のトレーダーの損益がプラスであっても、上記添付画像の通りJLP価格が上昇基調を維持していた点も興味深いといえます。
JLPを利用した運用方法
JLPの運用として最もシンプルなのは、JLPをJupiterで購入しホールドすることです。これだけで、プロトコルからの収益が反映され再投資された利回りがJLP価格に反映されていきます。
以下では、JLPの運用方法としてKaminoでのレバレッジレンディング、JLPをショートポジションによってデルタヘッジしたストラテジを紹介します。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。