EU暗号資産市場の規制「MiCA規則」
2022年10月25日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 前提
- 1:ステーブルコインを重点的に規制、アルゴリズミック型も含む
- 2:DeFiとNFTは原則として規制対象外。但し、解釈の余地を残した柔軟な見解を示す。
- 3:ステーブルコイン発行者に許認可制を導入
- 4:非ユーロ建てステーブルコインに対し、取引量の上限規制を設定
- 5:グローバル・ステーブルコインに規制要件を追加
- 6:ホワイトペーパー作成を義務化
- 7:サービスプロバイダーに許認可制を導入
- 8:トラベルルールを義務化
- 9:PoWの禁止条項は削除される
- 10:具体的な要件設定はこれから
- 総括
- 付録
- 出所・補足
前提
EU暗号資産市場の規制「MiCA規則」(Regulation on Markets in Crypto-Assets)が、2年間に渡る議論と修正を重ね、2022年10月5日、欧州連合理事会により承認されました。いよいよ今月10月後半、欧州議会で最終的に可決すると法律が成立します。2024年にはEU全域へ規制が行き渡ると予想されます。
EU法は、法的拘束力のある「規則(Regulation)」、加盟国に規制の達成手段を任せる「指令(Directive)」など複数の種類が存在します。これまでの暗号資産に係る規制はDirectiveであり、そのため加盟国は独自のルールを築いていき、規制の複雑化や各国間の相違が問題となっていました。今回のMiCA規則は、EUすべての加盟国に対し法的拘束力を有するものです。
また、今回のMiCA規則は、EUにおける金融サービス法の適用範囲から除外されていたステーブルコインやユーティリティトークン等の暗号資産に対して、規制要件を課しています。ステーブルコイン発行者や暗号資産サービスプロバイダーに対し許認可制度を導入し、所管当局の監督下に配置することも盛り込まれています。
MiCA規則と同時に、暗号資産のマネーローンダリング及びテロ資金供与対策を目的とした規制の法制化も進んでいます。これにより、暗号資産サービスプロバイダー間で顧客情報の共有を求めるトラベルルールが義務化されます。
本レポートでは、MiCA規則で重要と思われる箇所を計10個の要点に纏めて解説します。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。