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NFTの普遍性と個別性【中編】|オリジナルの複製と再構築から生まれる合成NFTプロジェクト「AlchemyNFT」

2021年08月09日

目次

  • 前提
  • AlchemyNFTの概要
  • 総論|「普遍への志向」と「個別への固執」という対極的な2つの意志

前提

本シリーズ「NFTの普遍性と個別性」は【前編】【中編】【後編】の3部構成のレポートです。普遍性と個別性という対極的な性質をテーマにNFTプロジェクトを捉え、NFT活用の多様性とその可能性について筆者考察を行います。
本レポート【中編】ではAlchemyNFTを概説します。
AlchemyNFTプロジェクトは、オリジナルNFTをもとに二次創作された合成NFTを作るプロジェクトです。
NFTとはノンファンジブルトークンの略称であり、一意に識別可能なトークンであることを指します。ただし、NFTに紐づく画像や動画データそのものの一意性は必ずしも保証されているわけではなく、NFTに紐づくデジタルコンテンツの真贋証明に必ずしもなっているわけでもありません。
あくまでNFTが保証しているのはデジタルコンテンツを格納する額縁のようなものの一意性であり、その額縁を誰が発行し、どのように作成されたデジタルコンテンツを、どこに保存して紐づけているか、は別途検証する必要はあります。
仮にこれを課題だと捉えるのであれば、デジタルコンテンツそのものの一意性を保証するためにフルオンチェーンでコンテンツ作成を完結させるというソリューションもありますが、これはデジタルコンテンツが複製されることによるネガティブな側面、つまり偽造防止をするという発想から生まれているようにも感じます。
その一方でデジタルコンテンツの複製のしやすさをポジティブに捉えると二次創作のしやすさと捉えることもできます。例えばアンディ・ウォーホールのポップアートなどはその走りであり、最近ではソーシャルネットワークと掛け合わせることで民主化され、Tiktokのようなものとして現れています。
AlchemyNFTは後者の二次創作に着目し、NFTとして表されたデジタルコンテンツを再構築した合成NFTをオンチェーン上で鋳造可能にすることで、まるでTiktokのようなソーシャルネットワークに見られるようなオリジナルの複製と再構築によって生まれる「個別性」を追求したプロジェクトであるように筆者は感じます。
またそれと同時に、フルオンチェーンに依らない「ゆるい真贋証明手法」とも言え、普遍性を求めないのであれば、NFTはより多様な表現ができることを表す事例であると筆者は解釈しています。
本文は大まかには以下のような内容で構成しています。以下①〜④は「NFTの普遍性と個別性」シリーズから離れ、Alchemy NFTプロジェクト単体の考察を行っています。最後の総論で本テーマ「個別性」について回収します。
①【AlchemyNFTの概要】
AlchemyNFTを概説し、その中で重要なツールとなっているTokenScriptの解説と、それにより実現するNFTのRemix(二次創作)について解説しています。
②【AutographNFTのしくみ|NFTにWeb2.0 IDのデジタル署名を付与するプロダクト】
TwitterIDによる署名レイヤーをNFTに重ねた合成NFTを作成するAlchemyNFTの第一弾dAppの仕組み解説しています。
③【Web2.0IDベースの認証レイヤーをNFTに重ねたSwiss cheese model】
Q1:「NFTはデジタルコンテンツの偽造防止技術であり、つまりは「NFT=本物」であるならば、なぜIDレイヤーによる追加の信頼が必要なのか」
という問いに対する筆者解釈と認証レイヤーの必要性を考察しています。
④【「デジタルIDの成熟度とユビキタス度合い」と「クリプト業界の評判が紐づいたTwitter識別子による認知バイアス」】
Q2:「なぜDIDレイヤーではなく、Web2.0IDレイヤーなのか」
という問いに対する2通りの筆者解釈を記述しています。
【総論|「普遍への志向」と「個別への固執」という対極的な2つの意志】
【前編】【中編】を通じて概説してきた各プロジェクトを普遍性と個別性という視点で再度整理し、そのどちらが良いでもないという姿勢で、この対極にある意志の度合い、つまり間(あわい)に着目すると、NFTに紐づく「見える」デジタルコンテンツがコピーできるかどうかは必ずしも重要ではなく、むしろ「見えていない」額縁が識別可能であれば良い場合というのがあるのではないか、という本シリーズ【後編】につなげる問いを立てています。

AlchemyNFTの概要

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