暗号資産市場にブラックスワンがあるとすれば、 それは何でどのような影響があるか

目次

  • 前提
  • Binanceに関わる懸念
  • Tetherに関わる懸念
  • 影響の予測
  • 総論

前提

本レポートでは、暗号資産市場にブラックスワンがあるとすればそれは何でどのような影響があるかについて筆者の論考を述べます。
一般的にブラックスワンとは、マーケットにおいて事前の予想が困難で起きたときの衝撃が大きい事象のことを指します。Nassim Nicholas Taleb氏が2007年に刊行した著書『ブラックスワン(The Black Swan)』で言及したのがきっかけで、使われるようになった言葉です。従来、すべてのスワンは白色と信じられていましたが、オーストラリアで黒いスワンが発見されたことにより、鳥類学者の常識が大きく覆されました。同様にマーケットで、確率論や従来の知識や経験からは予測できない極端な事象が発生し、それが人々に多大な影響を与えることをブラックスワンと呼んでいます。具体例としては2008年のサブプライムショックなどが代表的です。
今回は暗号資産市場にこのようなブラックスワンが潜んでいる可能性を検討し、実際にブラックスワンが起こる場合の影響範囲についても述べます。構成としては前半では市場の2つの大きな懸念を述べ、後半ではその懸念が顕在化した場合の影響について述べます。

Binanceに関わる懸念

まず業界内の懸念として高まっているのは世界最大の取引所Binanceに対するものです。Binanceは2017年に創業されユーザーエクスペリエンスや先進的な機能でユーザーから支持され急速に成長をしてきました。しかしそれらを実現している背景には規制を無視したオフショアでの運営と、オンショア法人も作り規制当局に歩み寄る姿勢を表面上は見せつつも実態としてはオフショア取引所にユーザーを誘導させようとする姿勢も大いに影響しています。最近になってこの懸念が高まっています。
2021年6月に米メディアCoindeskは複数のブロックチェーン分析企業のオンチェーン分析により、パレスチナ占領地で反イスラエル闘争を続けるイスラム原理主義組織であるハマスの過激派組織であるIzz ad-Din al-Qassam Brigades(イッズ・アッディ・ディン・アルカサム)が、Binanceからの送金を通してBitcoinによる寄付収益を得ていることを報じました。
その後、Binanceが寄付の中継地になったこととの関連性は不明ですが、暗号資産企業に送金サービスを提供する銀行である米Silvergate BankがBinanceへのサービス停止の発表しています。他イギリスの金融行動監視機構(FCA)が2021年6月26日にBinanceについて、イギリスでの事業が許可されていないことを理由に同国内での事業を禁止すると発表しました。また、その前日には、6月25日に日本の金融庁から「無登録で暗号資産交換業を行う者」として警告を受けています。
さらに前月5月まで遡ると、Binanceが米司法省と内国歳入庁(IRS)による調査を受けているとBloombergが報じました。記事よると税務とマネーロンダリング調査の専門家が調査にあたっているといいます。BinanceのCEOのCZによると「調査に協力していることは事実であるが、悪質なプレーヤーと戦うために法執行機関と協力しているに過ぎない。」と言及しています。
参照:https://twitter.com/cz_binance/status/1392898786607828995?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1392898786607828995%7Ctwgr%5E%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fwww.coindeskjapan.com%2F108637%2F

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