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ICP(Dfinity)とEthereumの違いや相互運用性 ICPの初期のユースケース

2021年06月26日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)

目次

  • 前提
  • ICPとEthereumの違い
    • 1.Ethereumより高い汎用性
    • 2.データを保持するノード数(replication)の違い
    • 3.ノード運営はパーミッションレスではない
  • ICPとEthereumの相互補完や相互運用性
    • ステージ1:ICPのスマートコントラクトからEthereumのスマートコントラクトの呼び出し
    • ステージ2:ICPでEtheruemノードがホストされることによるより低コストな相互運用性
  • 筆者が期待するICPの初期・中期のユースケース
  • 総論

前提

本レポートでは、ICP(Dfinity)とEthereumの違いを理解して短期・中期での見通しをすることを目的とします。
ICPはインターネットコンピュータプロトコルの略でありクラウドを代替する新しい選択肢になることを目論むプロジェクトで、市場からの期待も大きいです。下記のレポートではICPの概要を解説しています。
今回は上記レポートの基本的な概要を抑えた上で、ICPとEthereumの違い、ICPがEthereumに出来ないどのような要素を補完するかについて考察を行います。
またICPは壮大なビジョンであり創業者も20年視野でのビジョンを描くことから、投資家やプロジェクト観測者側から直近に期待する動きを見極めづらい側面もあります。こういったことを考慮して、筆者が期待するICPの初期・中期のユースケースについても考えを述べます。

ICPとEthereumの違い

まずは根本的なICPとEthereumの設計思想や目的の違いについて整理します。主にICPについて知っておくべきEthereumとの違いは以下の3つの要点に纏められます。

1.Ethereumより高い汎用性

まず、ICPはEthereumより汎用性が高いネットワークです。ICPの別称でもあり財団名にもなっているプロジェクトネームDfinityは、「無限(全てのもの)を分散にする」という意味が込められています。Ethereum自体もBitcoinにはない汎用性を備えた分散ネットワークでありますが、ICPはさらに汎用的です。Ethereumは金融取引(DeFi)や所有権の記録や移転(NFT)などが最も目立つ活用方法ですが、ストレージ容量やブロック生成スピードが限定的であることから出来ない処理もあります。
具体的に、Ethereumに出来ずICPが可能とするものとして、WebサイトやWebサービスのホスト、大きいサイズのファイルの保存、Webサービスと同様のスピードでのプログラムの処理実行、金融取引の中でもより早いセトルメントを求められるようなシステムの実現などが該当します。それらは今日ではAWSやGoogle Cloudが担っている点でこれらを分散システムで実現するのがDfinityです。またDfinityはEthereumと同様にトークン発行やその送受信などの機能も持ち合わせています。

2.データを保持するノード数(replication)の違い

Ethereumは数百から数千のノードでデータが保持されていますが、ICPの場合はデフォルトは7つで構成されています。Ethereumにスマートコントラクトをデプロイしたとしたらその状態は全ノードがコピーを持ちます。ICPでは開発者がスマートコントラクトベースのWebサービスをデプロイした場合、そのコピーはネットワーク上から選定された7つのノードです。この数は一般的なアプリケーションをデプロイする環境としてはAWSよりは多いものの、Ethereumほど多くのノードがデータを保持されているわけではありません。
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