マーケティング業者の迷惑メッセージ対策をブロックチェーンで複数事業者で運用するインド通信業界の取り組み

目次

  • 前提
  • インドにおける迷惑SMSや電話における社会課題と問題背景
  • 迷惑メッセージを送る業者を対策するブロックチェーンはどのように稼働するのか
  • スパム対策やブラックリストを複数の事業者を跨いで管理する試み
  • 総論

前提

本レポートでは、マーケティング業者の迷惑メッセージ対策をブロックチェーンで複数事業者で運用するインド通信業界の取り組みについて概観します。
ここで取り扱う迷惑メッセージとは、SMSを用いた詐欺的な投資商品の勧誘、同意を得ないマーケティングなどを指します。インドではこれらの迷惑メッセージが横行しており、インド通信規制局(TRAI・TELECOM REGULATORY AUTHORITY OF INDIA)は、インド通信会社各社と共に、これをブロックチェーンで解決する策を打ち出しました。
このような複数事業者間を跨いだスパム対策のネットワークは潜在的に多くの実用性可能性があります。今回はそういった視点も持ちながら、インドの通信規制局と各通信会社によるプロジェクトを概観します。

インドにおける迷惑SMSや電話における社会課題と問題背景

インド通信規制局によると、インドにおいて、迷惑SMSや電話における社会課題は深刻であるとされます。日本においても営業電話などがかかってくることなどは日常的に有り得ますが、インドではより深刻で、ある事件ではSMSで「この株式の価格は上がる」と一定時間に集中して一斉送信をして売り抜けをする相場操縦までが行われているとされます。
商用目的のSMSを送信する場合におけるマーケターの登録システムとブラックリストも存在しているものの、それらは十分に機能していないと言います。
そこで2018年7月にインド通信規制局が中心となり、各通信会社と共に、新たな解決策を発表しました。その解決策がブロックチェーンを用いて各通信会社が連携して、同意を得た消費者にしかメッセージを送れない仕組みを構築することです。
本レポートを執筆している2020年7月の時点で5億人のインドの一般消費者がメッセージを受け取る同意の有無の情報がブロックチェーンで共有されています。そして、今年9月にはマーケターは正規のステップを踏めばSMS受信を許可する消費者にのみSMSを送れるようになる予定です。ブロックチェーン基盤は、Hyperledger Fabricを使用しています。本プロジェクトの技術パートナーはIBMですが、各通信会社が内部のシステムとブロックチェーンを接続するための開発も多く必要になっており、それらはそれぞれ別の開発会社が関わっています。
なお、このような商用目的の電話やSMSについてシステムを構築して対策をしている国は、他にもシンガポールなどがあります。シンガポールは、2013年から個人情報保護委員会が、データベースを用意して、各電話番号保持者は拒否登録などが設定できて、営業電話をかける場合はこれを確認する義務があり、拒否した場合、最高100万シンガポールドル(約8000万円)の罰金が科されます。本レポートで紹介するインドの事例はこれをブロックチェーンを用いてより先進的に実装しようとする取り組みであると言えます。

このレポートはProプラン、法人アカウント限定のレポートです。

Proプランのユーザー、もしくは法人アカウントのユーザーがレポートの続きをお読みいただけます。

タグ