スケーリングのための汎用フレームワークOVMの概要とEthereumコミュニティの強さ
2019年10月31日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- スケーリング問題の前提
- Optimistic Virtual MachineとOptimistic Rollupについて
- Unipigの概要
- 総論
スケーリング問題の前提
本レポートでは、Devcon期間中に発表されたUnipigについて概観します。Unipigはレイヤー2のフレームワークであるOVMとOptimistic Rollup(以下OP)を利用して作られたレイヤー2(L2)上のUniswapを模したProof of Conceptで、高速DEXの形で表現されています。
EthereumのTPS(1秒間に処理できる最大トランザクション数)は現在15程度です。Ethereumはスマートコントラクトプラットフォームなので、Bitcoinに比べてトランザクションの数が多くなり、キャパシティの上限近くまで使われることが多いです。Etheruemのブロックガスリミットは可変ではあるものの、ブロックサイズを大きくしすぎると伝播に時間がかかったり、ハイスペックなサーバーでないとノード運営ができないなどの弊害があります。
Ethereumのスケーリングに取り組むチームは多数ありますが、本レポートで扱うOPはPlasmaを専門的に研究・開発するPlasma Groupによって提案されたものです。Plasmaは、ベースレイヤーとなるEthereumのセキュリティを享受することで、レイヤー2(L2)でありながら強固なセキュリティを持ち、制限のないスケーリングが得られる点が特徴ですが、同時に無効なトランザクションに異議を申し立てるために必要なデータがオペレーターと呼ばれる運営者から提供されない場合、ユーザーはPlasmaチェーンから脱出しなければならないなどの制限もあります。
OPはPlasmaと比較した場合に、トレードオフとしてスケーラビリティをある程度犠牲にしていますが、レイヤー1のセキュリティを受け継ぎ、且つSolidityで記述可能という特徴を持ちます。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。