ウォレット市場動向レポート (2025年):Duneレポートを概観する
2025年05月15日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 導入
- レポートサマリー(概要)
- 詳細
- 1. スマートアカウント(アカウントアブストラクション)の爆発的成長とBaseチェーンの躍進
- 2. Safe: スマートアカウント市場を牽引するリーダー
- 3. 新興ウォレットの戦略とBaseエコシステムの隆盛
- 課題
- 今後の展望
- 総括
導入
本レポートは、「The State of Wallets 2025」(Dune発行)を参照しながら、2025年現在のブロックチェーンウォレットの市場動向について概観します。
暗号資産(仮想通貨)市場の進化とともに急速に変化するウォレット技術とその市場動向に関心を持つ、ブロックチェーン関連事業者、開発者、投資家、そして将来的なWeb3ユーザーを対象としています。ウォレットは単なる資産管理ツールから、Web3エコシステムへの入り口、さらには多様なオンチェーン活動のプラットフォームへと変貌を遂げつつあります。
このレポートを読むことで、以下の洞察を得ることができます。
- 現在のウォレット市場の全体像と主要なトレンド
- 特に成長が著しいスマートウォレット技術の進展とその影響
- 主要なウォレットプロバイダーの戦略と地域ごとの利用状況の違い
- ウォレットインフラの進化と、それがユーザーエクスペリエンス(UX)に与える影響
- 今後のウォレット市場における課題と、EIP-7702などの新技術がもたらす将来展望
この情報は、事業戦略の策定、新サービスの開発、投資判断、そしてWeb3技術の理解を深める上で、貴重な指針となるでしょう。
レポートサマリー(概要)
本レポートの基となる「The State of Wallets 2025」(Dune発行)は、2025年現在の暗号資産ウォレット市場の多岐にわたる側面をデータに基づいて詳細に分析しています。ウォレットは、もはや単に秘密鍵を管理するツールではなく、オンチェーンでのあらゆるインタラクション(スワップ、ステーキング、ブリッジング、ガバナンス、ソーシャルコーディネーションなど)を仲介するプラットフォームへと進化しています。
レポートは主に以下の3つのセクションに焦点を当てています。
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EOA(Externally Owned Account)ウォレットの動向:
- Ronin Walletのような特定のエコシステムに特化したウォレットが、ニッチ市場で安定したユーザーベースを維持している事例を紹介しています。
- Addressableのデータに基づき、主要なウォレットプロバイダー(OKX, Bitget, Coinbase, MetaMask, Phantom, Rabbyなど)の地域別ユーザー数と保有資金額の分布を分析し、新興国市場がユーザー獲得を牽引し、先進国市場が流動性を提供している構造を明らかにしています。例えばMetaMaskは依然として広範な地域で使用されていますが、OKXやBitgetはアジア市場で強い地域クラスターを示しています。
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スマートウォレットアカウントの台頭:
- ERC-4337標準に基づくアカウントアブストラクションの採用が急増しており、特にBaseチェーンがスマートアカウントの展開数とUserOperations(ユーザー操作)の両方でPolygonを凌駕し、市場をリードしている状況を詳述しています。
- Safeはスマートアカウント市場で圧倒的なシェアを誇り、4300万以上のデプロイメントと市場の63%を占めています。そのTVL(Total Value Locked)は500億ドルを超え、Ethereumが依然として主要な資本レイヤーであるものの、BaseやArbitrumなどのL2への移行が活発化しています。
- Coinbase Smart Walletは、特にBaseとの連携により急速に成長しており、ユーザー数、UserOperations数ともに大幅な増加を見せています。
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新興ウォレットとインフラの動向:
- Layer3 Wallet, Gem Wallet, Ambire Walletなど、新しいアプローチで市場に参入するウォレットの事例を紹介し、特にBase上での成長が顕著であることを指摘しています。
- Reown (WalletConnect) がSafeの技術を統合したUniversal Walletsや、Privyのような組み込み型アイデンティティ・ウォレットインフラが、シームレスなオンボーディング体験の実現に貢献していることを示しています。
総じて、ウォレット市場はユーザーエクスペリエンスの向上、特にアカウントアブストラクションを通じた複雑性の排除へと向かっており、L2の役割増大、そしてウォレット自体のプラットフォーム化という大きな潮流の中にあります。今後のEIP-7702のような技術革新が、この動きをさらに加速させることが期待されています。
次節より、詳細を深掘りします。
次節より、詳細を深掘りします。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。