Web3×AIエージェント、開発フレームワークElizaOSから考えるAIエージェントがWeb3にもたらす可能性と課題
2025年01月15日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- Web3におけるAIエージェント開発フレームワークElizaOS
- AIエージェントOSの概念
- なぜWeb3とAIエージェントが重要なのか
- ElizaOSの構造
- 他のエージェントフレームワークとの比較
- 具体的な行動例
- 課題
- 今後の展望
- 総括
- 参考文献
大規模言語モデル(LLM)の進歩に伴い、複雑なタスクを「自律的に」こなすAIエージェントへの期待が高まっています。従来のAIシステムが個別のタスクに特化していたのに対し、AIエージェントは自律的に状況を把握し、必要なアクションを柔軟に取りながら目標達成を目指すことが特徴です。
一方で、ブロックチェーン技術を中心としたWeb3の潮流も急速に進展しており、分散型金融(DeFi)やNFT、分散型自律組織(DAO)などにおいて、AIエージェントを組み合わせる取り組みが加速しています。人間の手を借りずに「学習しながら資産管理を行うBot」や「コミュニティと自動的にやり取りするアシスタント」など、今までにない自律的なアプリケーションが生まれています。
本レポートでは、投資家やビジネスパーソンを想定し、AIエージェント開発フレームワークであるElizaOSを取り上げて、Web3とAIエージェントがどのように統合されるのか、そして具体的にどのような行動を取るのか、さらには現在考えられる課題と今後の展望について考えます。
なお、ElizaOSは、Web3に特化した様々な機能を備えたAIエージェントを開発するための基盤で、Githubには1万を超えるスターが付いており、コントリビューターも300を超えるほど注目されています。
ElizaOSのような開発フレームワークではなく、AIエージェントを作るプラットフォームとしては、Virtuals Protocolなど既に複数存在し、ソーシャルメディア上でも影響力を持っているAIエージェントアカウントも既に現れています。それらの現状やプラットフォームの仕組みについては、以下のレポートにて解説しています。
ElizaOSのような開発フレームワークではなく、AIエージェントを作るプラットフォームとしては、Virtuals Protocolなど既に複数存在し、ソーシャルメディア上でも影響力を持っているAIエージェントアカウントも既に現れています。それらの現状やプラットフォームの仕組みについては、以下のレポートにて解説しています。
Web3におけるAIエージェント開発フレームワークElizaOS
AIエージェントOSの概念
「AIエージェントOS」とは、ユーザーの指示や目的をもとにエージェント(AIプログラム)が自律的に思考・計画し、適切なアクションを実行できるようにするための基盤ソフトウェアとされています。
ElizaOSはTypeScriptで実装されており、Web3向けの機能を活かしやすい設計になっています。これは以下のメリットをもたすとされます。
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豊富なプラグインとモジュール構成
ソーシャルメディアとの連携やブロックチェーン上のトランザクション実行など、多彩な機能がモジュールとして追加可能。
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高速な開発サイクル
JavaScript/TypeScriptのエコシステムは成熟しており、Webフロントエンドやサーバーサイドとの親和性が高い。
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完全なユーザー制御
シンプルなコードベースのため、開発者は細部にわたる動作を把握しながら、自由にカスタマイズ・拡張ができる。
なぜWeb3とAIエージェントが重要なのか
ブロックチェーンがもたらす「分散化」「データの透明性」「改ざん耐性」といった特徴は、AIエージェントの信頼性や自律性を高めるうえでも大きな意味を持ち得ます。
たとえば、ブロックチェーン上の資産を「自分で」管理することと、AIエージェントに「自律的に」運用や判断を任せることが組み合わさると、次のような新たな価値が生まれると考えられます。
- トラストレスな取引 中央管理者を経由せず、AIエージェントが直接スマートコントラクトとやり取り可能。
- プライバシーと透明性の両立 重要な情報を秘密鍵などで守りつつ、必要に応じてトランザクション履歴などをブロックチェーン上で検証できる。
- 自律分散型組織(DAO)との連携 コミュニティ投票や提案をAIエージェントが分析・実行するなど、より高度な運営を実現。
ElizaOSの構造
以下の図では、ElizaOSの全体的な構造とその主要コンポーネントが視覚的に示されています。この図は、ElizaがどのようにしてWeb3アプリケーションとAIエージェント機能を統合し、開発者にとって使いやすい環境を提供しているのかを説明しています。
この図から読み取れるのは、ElizaOSがどのようにしてモジュール化された設計を採用し、開発者が必要な機能を柔軟に追加・変更できるかです。Web3との統合がスムーズに行えるように設計されている点も強調されています。
この図から読み取れるのは、ElizaOSがどのようにしてモジュール化された設計を採用し、開発者が必要な機能を柔軟に追加・変更できるかです。Web3との統合がスムーズに行えるように設計されている点も強調されています。
上図のTable 1では、Elizaと他のトレンドとなっているAIエージェントフレームワーク(LangGraph、AutoGPT、CAMEL)との比較が行われています。Elizaが特にWeb3サポートにおいて他のフレームワークに対して優位性があることを主張するためのものです。
他のエージェントフレームワークとの比較
以下の図は既に存在しているAIエージェントフレームワークをスコアで比較しています。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。