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CORE Chainの概要、BTCからインカムゲインを得るためのリスク分析

2024年11月20日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)

目次

  • Core chain(CORE)の概要
    • Satoshi Plusコンセンサスメカニズム
    • Non-Custodial BTC Stakingの仕組み
    • COREトークンとBTCを両方ステーキングすることで報酬をブーストするDual Staking
  • Core Chainのリスク要素の考察
    • 1. スマートコントラクトリスク
    • 2. リレイヤーの依存リスク
    • 3. ブロックチェーンネットワークの分岐リスク
    • 4. バリデーターの不正行動、集中化リスク
    • 5. Satoshi Plusの問題点
  • 総括
BTCを運用してイールドを得たい場合、ノンカストディアルにこれを実現することは選択肢が狭いです。
本レポートでは、BTCを保有している投資家向けに、ノンカストディアルな手法で可能な限りインカムゲインの獲得を検討するうえで、選択肢となり得るCOREについて解説します。
DeFiLamaによれば、COREは現在TVLはおよそ8.6億ドルで、順位はAptosに次ぐ13位です。増加傾向にあり、BTCFiのナラティブも重なり現在ではその勢いを強くしている印象があります。


https://defillama.com/chain/CORE?volume=true


しかしながら、BTCをノンカストディアルで運用して利回りを得るためには、何らかのトレードオフが存在し、そのリスクに見合うリターンを得られるかといえば現在のところ筆者は消極的です。この理由は、得られるインカムゲインがBTC建てではない点と、インカムゲインを実現する仕組みに内在するリスクに起因しています。
そのため、COREの概要を解説し、その仕組み上どのようなリスク要素が存在するのか、について本レポートではフォーカスします。
BTCをアセットとしてポートフォリオに組み込む際に、DeFiでの運用の選択肢を知っていることは、読者の運用戦略の幅を広げることができると考えています。そのような戦略のひとつとして今回のレポートが参考になることを目指します。

【CORE関連・参考資料リンク】

Core chain(CORE)の概要

Core Chain(CORE)は、Bitcoinのセキュリティを活用し、スマートコントラクトやDeFiアプリケーションを提供するために構築されたEVM(Ethereum Virtual Machine)互換性のあるBitcoinのサイドチェーンです。
Bicoin自体は、ピアツーピア決済や価値保存の手段として優れていますが、スマートコントラクトやDeFi(分散型金融)アプリケーションには向いていません。そのため、Core Chainはサイドチェーンとして独自のコンセンサスメカニズムを採用しつつ、Bitcoinと連携しながら分散型アプリケーションの実行をサポートしています。
加えて、暗号資産としてのBTCを運用して利回りを獲得する金融エコシステム、いわゆるBTCFiとしての側面も持ち合わせており、BTCのDeFi運用手段を創出するプロジェクトでもあります。

Satoshi Plusコンセンサスメカニズム

Core Chainの中核となるのは、その独自のコンセンサスメカニズムであるSatoshi Plusです。このメカニズムは、以下の3つの要素を組み合わせたハイブリッドなコンセンサスモデルです。

https://docs.coredao.org/docs/Learn/core-concepts/architecture



  • Delegated Proof of Work(DPoW): Bitcoinのマイナーが、自らのハッシュパワーをCoreのバリデータにデリゲートし、ネットワークのセキュリティを強化します。マイナーはBitcoinのブロックを生成する際に、Coreのバリデータに関する情報を追加し、このデリゲートされたハッシュパワーに応じて追加報酬としてCOREトークンを受け取ります。これにより、マイナーはわずかな追加コストで報酬を得ることができ、BitcoinとCoreの両方に貢献することで利益を得ることになります。
  • Delegated Proof of Stake(DPoS): COREトークンを保有するユーザーが、ステーキングの委任先バリデーターを選び、バリデーターはCoreネットワークの運営とブロック生成と検証作業を行います。これにより、ネットワークの分散性とセキュリティが確保され、バリデーターはステーキング報酬をCOREトークンで受け取り、委任されたバリデーターはコミッション報酬を差し引いてユーザー、Bitcoinマイナー、以下に説明するBTCステーカーに分配します。
  • Non-Custodial BTC Staking: BTCホルダーが、自身のBTCを第三者に預けることなくCore Chainのセキュリティに活用し、報酬を得ることができる非カストディアルなステーキング手法です。この手法では、BTCをBitcoin上で一定期間動かせないようにし、そのBTCをCore Chainのバリデータにデリゲートすることで、対価としてCOREトークンによる報酬が支払われます。これにより、BTCホルダーはノンカストディアルでありながら、Core Chainのネットワーク強化に貢献し、収益機会を得ることができます。
誤解をしやすいのが、DPoWはBitcoinマイナーが実際に計算資源をCore Chainに提供しているわけではない点です。
DPoWでは、BitcoinマイナーがCore Chainのバリデータに対する委任表明を行うことで、間接的にCore Chainのセキュリティに参加しているとみなされます。DPoWの仕組みでは、ビットコインマイナーが新しいブロックを生成する際に、Coinbaseトランザクションの**OP_RETURN**フィールドにマイナーがデリゲートしたいCoreバリデーターのアドレスや、COREトークンの報酬を受け取るためのアドレスを追加します。
この結果、マイナーは追加の計算資源を投入することなく、既存のマイニングプロセスの一環としてCore Chainのセキュリティに貢献し、追加の報酬をCOREトークンで得ることができます。
現在、Bitcoinの合計ハッシュレートのうち8割弱がCore Chainのデリゲートされているとのことです。

https://stake.coredao.org/


DPoWとDPoSからそれぞれデリゲートされた値を使って、バリデータの最終的なスコア(ハイブリッドスコアという。)が算出されます。
バリデータはスコアの上位から選出され、選ばれたバリデータがCore Chainのブロック生成に参加します。この順位は各ラウンド(エポック)ごとに更新され、選ばれたバリデータがその期間中のブロック生成を担当します。Core Chainのバリデーターセットは、現在27で構成されています。
ハイブリッドスコアの計算式は以下のとおりです。

  • S = バリデータの最終スコア
  • rHp = 特定のバリデータにデリゲートされたハッシュパワー
  • tHp = 全バリデータに対する総ハッシュパワー
  • rSp = 特定のバリデータにデリゲートされたCOREトークン
  • tSp = 全バリデータに対する総COREトークンのステーク
  • m = DPoWとDPoSのスコア比率(例:0.3がハッシュパワー、0.7がCOREトークン)
DPoWとDPoSの比率(mパラメーター)はCore DAOのガバナンスにより調整が可能で、ネットワークの要件やセキュリティ状況に応じて変更されます。これにより、DPoWまたはDPoSの比重が動的に変更され、バリデータの選出基準の最適化が行われます。

Non-Custodial BTC Stakingの仕組み

Non-Custodial BTC Stakingは、BTCがBitcoinネットワーク上にあるまま、タイムロックアップされたトランザクションを利用してCoreチェーンのバリデーターに委任する形で実現しています。

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