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FTXが発表した現物、デリバティブ向けのDEXプロジェクトSerum概観

2020年08月01日

目次

  • 前提
  • SerumエコシステムのネイティブトークンSRM
  • オーダーブックのあるDEX
  • SerumBTC
  • SerumUSD
  • 総論

前提

本レポートは、暗号資産取引所FTXが発表した現物、デリバティブ向けのDEX(分散型取引所)Serumを概説します。
※FTXは大型ヘッジファンドAlameda researchのインキュベーションプログラムにより、2019年4月に開設されたデリバティブ取引所です。またSerumはAMM型のSerum SwapやSerumを基盤としたエコシステムである「Serumプロジェクト」でもあります。本レポートではオーダーブック形式のSerum DEXについて概説しています。
Serumは、Solanaのメインネット上で実行される指値注文も可能なノンカストディアルのDEXであり、Serumはオーダーブックをもつという特徴のほか、BTCなど合成トークンのサポート、分散型ステーブルコイン、分散型オラクルをサポートしています。またクロスチェーンをサポートしており、DeFiエコシステムが進展しているEthereumとの相互運用性があります。
執筆時点でDeFi(分散型金融)エコシステムが最も発達しているのはEthereumであることは間違いなく、MakerDAOによる分散型ステーブルコインDAIや貸出プロトコルCompoundに始まり、Bancor、Uniswap、Curve、BalancerなどのAMM(自動マーケットメイカー)の仕組みを持つDEXなどの主要アプリやアグリゲーター、情報サイトのほとんどはEthereum上に存在しています。
一方で昨今のDeFiの盛り上がりとともに高まるガスコストや取引スピードの遅さはEthereumで課題視される点であり、金融市場としてCEX(集権型取引所)と比較すると見劣りする点だと言えるでしょう。この点はL2(レイヤー2)ソリューションの発展に期待する部分もありますが、Serumではあえて2020年にメインネットベータをローンチしたばかりのSolanaを選択しています。
L2、シャーディング、サイドチェーンといったトランザクション性能を向上させる技術は今後もEthereumで研究開発が進む部分ではありますが、L2のチャネルを開く際の処理の分かりにくさや、異なるシャード同士のコミュニケーションなど課題は多いのが現状です。これに対して、SolanaはL1のスケーラビリティを桁違いに高める(秒間5万トランザクション)ことで、レイヤー2を必要としない解決策を提案しています。
プロジェクトSerumを主導するSBF氏(FTXのCEO)のいくつかの発言を要約すると、同プロジェクトは短期的な成功を目指すものではなく、長期的なプロジェクトとして捉えており、それ故に現時点での優れたウォレットUIを持つことよりも、ブロックチェーンとしてのパフォーマンスの高さを優先してSolanaを選択したことが窺えます。
SerumはCEX(集権型取引所)であるFTXの特徴を持つDEXであるといえ、FTX同様にBTC、ETHなどの現物取引に加え、先物取引などのデリバティブ商品も取り扱う予定です。本レポートでは、SerumのネイティブトークンSRM、オーダーブックを持つDEXとしてのSerum、SerumBTC、SerumUSDを解説します。
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※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。