オークションベースの分散型取引所(DEX)のプロトコルであるDutchXProtocolとそれをガバナンスするdxDAOの解説
2019年06月06日
目次
- 前提
- Batched auctionsとDutch auctionいうマーケットモデル
- DutchX Protocolで行われるトレードのプロセス
- DutchX Protocolでの手数料モデル Liquidity Contribution (LC)
- DutchX Protocolのトークンモデル
- DutchX ProtocolをガバナンスするdxDAOの概要
- DutchX Protocolの評価と考察
- 総論
前提
オークションベースの分散型取引所(DEX)であるDutchXと、それをガバナンスするdxDAOの解説を行います。
DutchXはEthereum上に構築される分散型取引所のプロトコルでERC20トークンを交換できます。
このDEXの特徴的な点は、オークションモデルを採用している点と、マイナーによるフロントランニングに対する解決策を示している点です。
ブロックチェーン上のDEXにおけるマイナーのフロントランニング問題は、DEXで注文されたとき、つまりトランザクションがブロードキャストされるとき、そのメッセージをマイナーは先に受け取れるという性質を利用して行なわれます。
このときに可能なフロントランニングは、トランザクションがセトルメントされブロックとして伝播される前に、それを察知したマイナーが先回りしてオーダーを出し、そのマイナーが出したトランザクションよりわずかに高いトランザクション手数料でマイナーに先にブロックとして取り込んでもらうことなどを行います。
これによって、原理的にフロントランナーはかなり低いリスクで、トレードを毎回先回りして利益を享受できます。
Uniswapや0x、Bancorなど主要なDEXのいずれもが、執筆時点でまだこのフロントランニング問題による解決策の実装が行なわれていません。(0xは、今年Q2にTrade execution Contractという実装を行って一定の解決をする予定です。)
DutchXはこの解決策を提示しており、またDEXをガバナンスするDAOも構築されています。
レポートでは、この概要・仕組みを網羅します。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。