DAOを構築するMoloch DAO クラウドファンディング的なDAOプロトコルの概要・仕組み
2019年03月28日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 前提
- Moloch DAOの基本的な仕組み
- Ethereum2.0の開発資金を集めるために実際に使用されているMoloch DAO
- 総論
前提
Moloch DAOという新しいDAO(自律分散組織)のフレームワークが、2019年3月にEthereumのメインネットでデプロイされました。
Moloch DAOという仕組みが考案された経緯は、Ethereum2.0の進捗が遅れており、かつEthereum2.0を開発するチームはマネタイズができないため、不特定多数から寄付金を集め、その寄付金をプログラム可能なガバナンス(統治)を伴ったうえで管理できれば良い、という事情で提案されました。Moloch(モレク)という名前は、古代の中東で崇拝された神の名で、生贄などの犠牲を要求するが、全体の利益を守り、厄災を退ける神として知られています。つまり、Moloch DAOはそういった用途のDAOを意識しているものです。
Ethereum2.0などオープンソースのブロックチェーンのプロトコルやクライアントは、Ethereumをスケールするため絶対に必要ですが、実装しても利益は得られず、開発者の給与をどういった形で解決するかという問題があります。Molochという名前は、まさにそういった「コミュニティのために必要であるものの、誰かの犠牲や貢献が必要」なDAOであることを表現しています。
本レポートでは、このMoloch DAOの仕組みを概観します。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。