図1|Movement chainの高レベルのアーキテクチャ及びトランザクションライフサイクル(出所:公式発表資料「Public Mainnet Beta is Now Live」)
Movement Networkは、Move言語(元々Facebookが開発したブロックチェーン用プログラミング言語)を基盤とするブロックチェーンネットワークです。旗艦チェーンである「Movement Mainnet」は、Ethereumブロックチェーンのセキュリティに支えられたレイヤー2(L2)の汎用チェーンで、高いスループット(TPS)と高速なファイナリティを実現するよう設計されています。
図2|Move Executorの図解(出所:公式ドキュメント)
Movement Networkが掲げる利点の一つは、既存のレイヤー1(L1)チェーンや他のモジュラー型ブロックチェーンと比べて安全性・スケーラビリティで優れている点とされており、例えば、Move言語はSolidityより安全性が高く、スマートコントラクトの実行時に資産操作を厳密に検証できる点をその優位性として掲げています。実際、チームによればMoveVM上でスマートコントラクトを実行すればリエントランシー攻撃など一般的な脆弱性の90%以上を防止できると謳っており、2022~2023年に相次いだ数億ドル規模のハッキング被害(CurveやKyberSwapの事例など)への対策にもなると強調しています。
Movement Labsは当初、独自チェーン「M1」をAvalancheのネットワーク内で稼働させる実験も行っており(Avalanche財団のBlizzard Fundも出資)、データ可用性レイヤーにはCelestiaを活用することで提携しています。パートナー企業以外にも、エコシステム上で展開予定のプロジェクトが早くも複数存在します。
Explore the Ecosystem(出所:https://www.movementnetwork.xyz/ecosystem)
公式サイトによれば、既に例えばNexio(ビットコインのパラレルL2をMovement上に構築)やLumio(Movement Stackを用いたVM抽象化ネットワークを開発)、さらにはUp Network(ブロックチェーン搭載スマートフォンの構想)など多彩なプロジェクトがMovement上で動き始めています (The Movement Network)。このように、トップVCから資金供給を受けつつ他ブロックチェーン陣営とも協調し、ローンチ前から多くのパートナーやコミュニティプロジェクトを巻き込んでいる点はMovement Networkの大きな強みと言えるでしょう。
TVLと財務指標
Movement Networkはメインネットβ版の公開に合わせ、早期から相当額の資金流入を確保しています。公式の発表によれば、「Cornucopiaプログラム」と呼ばれる流動性確保策を通じて2億ドル以上の資産がネットワークにブリッジされる見通しとされます。
MOVEトークンはネットワークのガス代支払いに使われるほか、将来的にはステーキングやガバナンスにも利用される見込みです。現時点でのTVL(Total Value Locked:ロックされた総資産額)は公式発表の通り数百億円規模に上り、今後開発者やユーザーの参入が進めば更なる増加も期待できます。総じて、資金指標の面でも順調なスタートを切ったプロジェクトと言えるでしょう。