Symbolの概要 セキュリティやシステムへの適合に特化したチェーン
2021年07月30日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 前提
- 効率性:POS+と4層のネットワークによる効率的なブロック生成
- セキュリティ:マルチシグやアカウントごとのセキュリティ設定でヒューマンエラーや攻撃を回避
- 適合性:豊富なSDKやプライベートブロックチェーン
- 組織
- 総論
- 参考資料
- 補足
前提
本レポートではSymbolプロジェクトの概要を解説します。SymbolはNEMの開発者らにより作られたエンタープライズ向けのパブリックブロックチェーンです。
NEM、Symbolは共にパブリックブロックチェーンですが、新たに開発されたSymbolは、もともとNEMのコア開発者とテックビューロ社が性能向上、機能強化、コンセンサスアルゴリズムの改良を目的として「Catapult」というコードネームで開発が行われていました。NEMのコア開発者が「Catapult」を搭載(拡張)してリリースしたパブリックブロックチェーンがSymbolになります。一方でテックビューロ社は「Catapult」を搭載したエンタープライズ向けのプライベートブロックチェーンとしてmijin Catapult (v.2) をリリースしています。Symbolはパブリックブロックチェーンでありながら、既存のエンタープライズシステムとの接続をAPI/SDK経由で簡易に行えることから、ハイブリットチェーンというコンセプトで差別化されています。
このSymbolですが、エンタープライズ向けとして下記の特徴を持っています。
- 効率性:POS+による効率的なブロック生成
- セキュリティ:マルチシグやアカウントごとのセキュリティ設定でヒューマンエラーや攻撃を回避
- 適合性:豊富なSDKやプラグインで既存システムに組込みやすい
NEMについておさらいすると、2014年に発足したブロックチェーンプロジェクトで、ネイティブでマルチシグ(複数署名)に対応し、複数のアセットを作成管理できる「Namespace」や「Mosaic」機能を備えるという独自性を持っています。また5年以上に渡り安定して稼働してきたという実績があります。
特に日本コミュニティが活発で、日本語情報も多いことから日本国内での取引が多い傾向にあります。そのNEM (NIS1)と比較するとSymbolはエンタープライズを意識したブロックチェーンであると言えます。またNEMの課題を解決しており、NEMのバージョンアップといえる面もあります。
特に日本コミュニティが活発で、日本語情報も多いことから日本国内での取引が多い傾向にあります。そのNEM (NIS1)と比較するとSymbolはエンタープライズを意識したブロックチェーンであると言えます。またNEMの課題を解決しており、NEMのバージョンアップといえる面もあります。
Symbolはエンタープライズ用途で必要なセキュリティや適合性を持っており、開発リソースの短縮や小規模なシステムに向いていると言えます。他のプロジェクトでは周辺プロジェクトで開発されている機能を、あらかじめ内包しているのが特徴です。ただ2021年にメインネットをローンチしたまだ新しいプロジェクトでもあり、周辺プロジェクトや採用例やコミュニティが少なく、先行者利益を持っている他チェーンにどこまで対抗できるかという状況です。
効率性:POS+と4層のネットワークによる効率的なブロック生成
1.POS+:ノード共通の機能
本レポートでは3つの特徴に付随する機能を説明します。まずブロック生成を見ると、SymbolはPOS+というPOSの課題である富の集中を解決するコンセンサスアルゴリズムを採用しています。
前身のNEMで採用していたPoI(Proof of Importance)というアルゴリズムも同課題を解決するものでしたが、PoIは計算コストが高かったためPoS+でその点を改良しています。
もう少し具体的に式で説明します。
- T:Transaction量を示すスコア
- N:ノードで得た収入のNodeスコア
- A:これらを使って算出するActivityスコアA
- Balance:アカウントの残高
これらの変数を使いTとNのバランスがとれるように一定の係数をかけて、最後にBalanceで除算します。Balanceで割る理由は、残高が高いアカウントはTransactionやNodeスコアも大きくなるため、アクティビティだけの変数を取るためです。
このアクティビティスコアAとStakeスコアSを、係数γ(現在は5%)で重みづけしてImportanceスコアを導き出します。このIが高いほど報酬を得やすくなります。
ちなみにNEMではTransactionスコアに複数の異なる式を使っていましたが、SymbolではそれをTransaction金額として簡易化しています。
またSymbolではブロック生成で収入を得る行為をハーベスティングと呼んでいます。ハーベスティングに参加する記録者には適格基準が設けられており、少なくとも10,000XYMを保有するアカウントのみがハーベスティングに参加することができます。
このハーベスティング収入から、投票ノードの収入として5%が徴収されます。またノードを建てない参加者もDelegate(委任)を行うことができ、ノードは0%もしくは25%を委任報酬として割り当てることができます。これによりStake量を増やし、Importanceスコアを上げる事ができます。このようにTransactionとNodeスコアを加える事でStake量以外の要素を考慮し、PoSの課題である「富んでる者がより富む」問題を解決しています。
このハーベスティングによって、ノードはTransaction手数料とインフレーション分のネイティブトークンXYMを得ます。Transaction手数料はノード側で調整でき、手数料の少ないノードが選ばれやすくなるためノード間の競争に役立ちます。
2.POS+:スーパーノードの機能
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。