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Ethereum上の分散レンディングプロトコル・Dharma Protocolを概観する

2019年02月21日

目次

  • Introduction
  • 概要
  • Dharma Protocolの抱える課題に関する考察
  • ユースケース
  • その他分散型レンディングプロトコルとの比較
  • Conclusion
近年のブロックチェーン技術を活用した資金調達市場において、エクイティー(株式)に近いICOである「STO」が新しい手法として存在感を放つ一方、債券をトークン化する分散型プラットフォームとして注目を集めているのが、Dharma Protocolです。
本レポートでは、Ethereum上の債券発行プロトコルであるDharma Protocolについて概観します。
Dharma Protocol Website :https://dharma.io/
Dharma Protocol Whitepaper :https://whitepaper.dharma.io/

Introduction

ブロックチェーン領域におけるエクイティー(株主資本)とデット(負債)

世界のエクイティー(株主資本)市場の市場規模は大きく、日本円にしておよそ約800兆円もの大きさがあります。一方で、デット(負債)市場はそれをはるかに上回る約2300兆円の市場規模を持っています。(※以下図参照)
(image by Nadav Hollander, source  Dharma medium article
しかし、近年のブロックチェーン技術を活用した資金調達市場では、エクイティーに近いICO・STOが新しい手法として存在感を放つ一方で、債券をトークン化し資金調達を行う、例えば社債や地方債をトークン化して発行するというようなモデルは未だ存在しません。また個人や企業がトークン化された債券資産で金融取引を行う事例もほぼ無いと言えます。以上の事実から、債券のトークン化という手法は未だ一般的ではないと言えます。このような状況に対し、債券をトークン化する分散型プラットフォームを作ることで、より多様で新しい資金調達、あるいは金融取引の創出を試みているのが、Dharma Protocolです。
債券市場をブロックチェーン化することで、既存金融が抱える不透明性のリスク(例:2008年の金融危機)や、債券での資金調達・運用、クレジットデリバティブ作成にかかる様々な仲介コスト減少させることができると予想されています。当然、これまで様々なプロジェクトが債券市場をブロックチェーン化しようと取り組もうとしてきました。しかし、債券市場には非常に範囲が広く、各分野には異なる課題が存在し、そのそれぞれに対し異なるモデルでの解決策が求められるため、どのプロジェクトも限定的な影響力しか及ぼすことができていませんでした。そのため、Dharmaはそれらの多様な債券分野のプロダクトのインフラとなる、普遍的なプロトコルとして機能することを目指しています。
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※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。